おてがみ

ちょっと行って来る
玄関でスニーカーに足を入れながら、次男が言う。



えっ?どこに?

と声をかける間もなく、バタンと扉の閉まる音が響いた。

(だって、引っ越してきたばかりで友達いないじゃない。どこ行くんだよ~)



あっ!
あれだ!!!
今日こそは・・・。



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「・・・・毎日、ぼくのゆうびんうけは、空っぽさ。お手紙を まっているときがかなしいのは、そのためなのさ。」
このセリフが頭をよぎる。
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お手紙をもらったことのない がまくん
がまくんの思いを知って、親友のかえるくんがまくんに お手紙を書く。
そして、それをカタツムリに託して・・・
というお話。







暑かろうと
雨が降ろうと
雪が降ろうと
下校するなり、ランドセルをポーンと放り出し、友達と遊んでいた次男。



新しい街にやって来て
ダンボールを片づけて
中学の準備を済ませ



ひとことポツリ。
誰かピンポーンって、遊びに来ないかな。



そんな息子が不憫で
遊べる場所を探して
映画館やら
ボーリングやら
バッティングセンターやら
いろいろ連れ出してみたものの




母は母。
ふたりは ともだち ではない。




近所に郵便局を見つけて
友達にハガキを書くこと数十通。
その返事を毎日、毎日、待っているのだ。
だから、今日の(も)行き先は、階下のメールボックスだ。




去る私たちに
いろいろな席を用意してもらった。
温かい言葉をたくさんかけてもらった。
とても有り難いことだが
新年度の話が出る度に、ああ、私たちの居場所はそこにはもう無いんだ!ということを思い知らされる。


○○部の顧問の先生は☓☓なんだってー
△△小の子どもは、□□らしいってー


噂話に興じる人の輪の中で
私は透明人間になる。
転居の度に
いつもそんな風に感じてきた。


仕方のないことだけれど、
何とも言えない寂しさを感じる瞬間だ。

卒業前の教室で、おそらく息子も同じ思いを味わってきたはずだ。




新しい生活への希望に満ち溢れている友には、息子からのハガキはどう映っているのだろう。
未来と過去。
秤にかけると、どちらが重いのだろうか。




いっそのこと
かえるくん
のように、次男宛てにお手紙を書こうか?

(お母さん、気持ち悪い!と一蹴されそうな気がする(-_-;))
それに、私たちは親子であって、ともだち ではない。





手ぶらで帰ってきたら、どんな声をかけようか・・・
気の利いた言葉が見つからない。





ガタン。

あっ、帰って来た!



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